スペシャルインタビュー

4月1日のラムドゥアン・サイカム(タイ)戦直前!
昨年12月、大阪大会での快勝に続き、東京でもKO勝利を狙うライカのロングインタビューをお届けします。
これを読んで、いざ後楽園ホールへ!!

「男子とのスパー? やっぱり怖いですよ」

――今回は徹底した走り込みをしたそうですね。
今までずっと平坦な道を走っていたんですけど、必ず坂道とか階段を取り入れるようにロードワークのメニューを畑山(隆則)さんが組んでくれて、時間が許す限り付き添ってくれました。
一人でできない追い込むトレーニングができましたね。

――昨年12月の大阪での試合前も走り込みを重視し、結果はKO勝利。成果は出ているようですね。
はい。
走り込みが自分にとって一番足りなくて一番大事だとわかったし、自分自身も走っているおかげでどんどん良くなっていると思う。
今は走ってないと不安になるぐらい(笑)。

――男子とのスパーリングを何回か見せてもらいましたが、聞きしに勝る激しさでした。
「これはもらっちゃいけないパンチだろう」というのがボンボン来ますからね。試合以上に緊張感とスリルがある。とにかく壊されないことだけを考える。
そういう危機感の中でスパーをやってますよね。やっぱり怖いですよ。とりあえず怪我しないで終わったらホッとしますからね。



「一戦一戦、世界戦のつもりで臨んでいる」

――激しいトレーニングの合い間を縫って、チケットを手に支援者の方々を訪ねたとも聞いています。
本当に、自分にプレッシャーかけてますよね。自分で自分を追い詰めているような気がするけど、それが力にもなるし。
ぶっちゃけ、リングの上では何が起こるかわかんないじゃないですか。
だから今、この試合を多くの人に見てもらいたい。そういう気持ちが大きいです。

――皆さん、どんな声をかけてくれましたか?
「もう一回世界を取らなあかんな」って。
みんな、けっこうプレッシャーかけてきますよね(笑)。みんなが本当に期待してくれてるのを感じます。

――山木ジム時代の後輩、天海ツナミ選手はWBA世界王座を、山口直子選手は東洋太平洋王座をすでに獲得しています。
ああ、そうですね。周りはみんなベルトを取って。
だけど……自分は自分のペースで自分のものを作っていきたいと思ってるし、周りは周りだし、あんまり意識はしてないっていうか。
今は目の前にある試合を一つ一つクリアして、次につなげていくことしか考えられないですよね。

――正直、焦りはありませんか?
それはない。
それだけ難しいっていうか…。もちろん目標はベルトにしてやってますけど、リングに上がって戦うことが自分にとっての生きがいでもあり、そこに向かってやる姿勢っていうかね。自分への挑戦じゃないですか。
そういう意味では、自分にとって一戦一戦が世界戦であってもいいような感じで臨んでいるし、そこにベルトがあるかないかっていうことだけなんですよね。



「東京でも復活した姿をみんなに見てほしい」

――今回の対戦相手、ラムドゥアン選手は、前回の相手を下している選手です。
前より強い。いいじゃないですか。自分も一つ一つ這い上がって頂上まで行くぞ、という感じなんで。
負けられないですよね。勝たないと次がない。そのプレッシャーは自分の中でも強いです。

――前回同様、狙うはKO?
そうですね。どんな相手が来てもKOできるボクシング。それは最初に自分が描いていた勝ち方でもあり、ずっと望んでいたものでもあったから、ようやく前回の試合でできたなあと思って。
でも正直、試合じゃないとわかんないですよね。今は畑山さんとT&Hのトレーナーを信じて、やらなきゃいけないことをしっかりやって、あとはリングの上で答えが出るだけなんで。思いっきりやるだけですね。

――気合い十分ですね。
こういう気持ちって、本当に最初の頃とまったく一緒なんですよね。一戦一戦、勝たないと次がないっていう。
だから寝られないことも多いです。こういう気持ちになれたのは、移籍したことも大きいと思う。
みんなにすごく良くしてもらってるんで、結果を出して恩返ししたいという気持ちも強くなっちゃったんで。

――人から期待をかけられるほど強さを発揮するタイプ?
自分はそうだと思います。だから、いろんな人に自分でチケットを渡しに行ったり送ったりすることで、自分自身にプレッシャーをかけて、「みんながこんなに応援してくれてるんだ」って感じられて、それが全部力になる。
追い込んで、追い込んで、追い込んで、リングで力を引き出すっていうタイプだと思うんですよね。

――そこまで言ったからには、ぜひ豪快なKO勝ちを見せてもらわないと。
それ、プレッシャー与えてるんですか? アハハハ! もう勝つしかないですね、残された道は。だからこそ、みんなに見てほしいんですよね。
この間は関西で見せたんで、今回は東京で復活した姿を。まだまだ終わってないっす(笑)。



12月6日、見事4R、KO勝利を収め世界再挑戦へのリスタートを切った風神ライカを緊急直撃!
試合までの苦悩から目指すべき未来まで、率直に語ってもらった。

「嬉しくてか、ホッとしてか、泣いちゃいました」

――見事なKO勝利でした。KOした瞬間の心境は?
「ガムシャラになってたんかな、気がついたら相手が倒れてたって感じですね。カウントされてる時は、『もう立つな!』と思っちゃいました(笑)。
相手は闘争心、気迫のある選手でしたね。闘ってて、それは感じました」

――思っていた通りに闘えたのでは?
「左で少し様子をうかがいながら、相手が入ってきたところに右を合わせて行くという組み立てでしたけど、その右も面白いように入った感じで。
あとはセコンドの指示通り、ところどころボディも意識しながら。本当に、練習通りに闘えた試合でしたよね」

――試合後のインタビューでは、涙を見せていましたね。
「今まで、やってきたことが全く出せない状態で負け続けてたんで、試合前は不安で不安で仕方なかった。
自分の本来の力が出せないんじゃないか、また同じように結果を出せないんじゃないか。
そういう不安がずっとあったんで、こうして最高の結果で終われたことが、なんか本当に…。嬉しくてか、ホッとしてか、泣いちゃいましたね(笑)」

――ブログでも、試合前に胃痛に悩まされていたことを告白していました。
「かなりの緊張、プレッシャーがありましたから。移籍したこともそうだし、自分で全部選んで、周りの人たちを傷つけたり、迷惑かけたり。
その中でずっとやってきて…自分で答えがほしかったんですよね。やってきたことが正しかったのかどうか。
練習中に『良くなってるよ』とも言われたけど、なんぼ言われても受け入れられなくて。
『試合でできなかったら、勝てなかったら意味ねえじゃん』て」



「勝って、自分の居場所を守りたかった」

――移籍を含め、勝つことで自分の選択が正しかったことを証明したかったのですね。
だから、本当に全力投球ですべてを賭けて臨んだ試合だったんですよね。世界戦でもおかしくないような気持ちで、今回の試合に賭けちゃったんですよね。
そういう気持ちだったから胃炎になったりして(笑)。なんかね、似てるんすよ。京都から反対を押し切って東京へ出てきた時の状況と」

――プロボクサーを目指して上京したのは2000年の春。9年前の心境に戻ったような?
「そう、ただがむしゃらに世界チャンピオンを目指してた自分。あの頃の自分に似てるなあと思ったんですよ。
今回も移籍して、畑山(隆則)さんに練習をみてもらいたいから横浜に強引に引っ越して。自分で自分を追い詰めたっていうのもあるけど、ホント相当なプレッシャーがかかってましたよね。
だから自分が25戦もやってるなんて思えなかったし、なんかもう本当に初めてやるような感じ。それぐらい恐がってましたよね。それでもいい状態でリングに上がれたことは、自分にとって自信にもなりました」

――これでまた、次につながりましたね。
「そうっすね。言うたら後がない状態になっちゃってて、それでも自分はボクシングしたいし、ボクシングする場所を守りたいっていうか。もう勝つしかなかったんですよ。
勝って、自分で生きていく場所を自分でつかまないといけなかった。自分の居場所を守らないといけなかった。でも、これでまた一歩前に出れたんで、また次の階段を登れる。それだけが嬉しいですよね」



「もう少しなんですよ。自分のボクシングを完成させるまで」

――来年は、もう一度世界のベルトを狙う年になりますね。
「ベルトを狙うっていうか…なんだろう。自分自身がまだレベルアップしてるし、自分自身が目指してるボクシングに近づきつつある。
今は、それをやっと試合で出せたって感じなんですよね」

――昔から言っていましたね。「ベルトがほしいのではなく、自分の目指す世界チャンピオンになりたいだけだ」と。
「だからね、もう少しなんですよ(笑)。今回の勝ち方は本当に理想的だし、もっともっとこういう勝ち方を増やして、自分のボクシングをこれから作って行って、もう一回これで世界に挑戦したい」

――目指すボクシングを試すためにも世界のトップと拳を交えたい。そのための世界戦なんですね。
「そう、世界戦は自分を試す場であり、階段をのぼるように一つひとつクリアしていって、それで、やっぱりてっぺんまでたどりつきたいですよね。
そこがゴールじゃないけど、とりあえず自分のボクシングを高めていって、完成に近づけたい

――そのスタートラインに再び立てたことが、今回の一番の収穫かもしれませんね
「そうですね。その気持ちを取り戻せたんで。でも、それも周りが気づかせてくれた部分もあるんですけどね。本当に感謝の気持ちっていうかね、こんな連敗してる自分を、それでも応援してくれる人がいる。
それだけでありがたいっていうかね。『負けたらみんなをつらくさせてしまうから、もうこういう気持ちにはさせたくない』って心の底から思ったし、そういうのも全部力に変えられたし、また自分を強くさせてくれた。
だから、勝つことで恩返ししたいし、勝ってみんなで笑いたい。改めて、そう思いましたよね」